「ダイエットするならオートミール?」
「美容と健康に最適な食材かも!」
オートミールを食べることでうれしい効果が期待できることから、少しずつ取り入れる方が増えてきています。
しかし、具体的にオートミールがどのように良いのか、どのように食べるのが良いのかなどが分からず、試したことがないという方もいるのではないでしょうか。
今回の記事では、オートミールの栄養素やおすすめの食べ方と簡単なレシピ、自分に合う種類の選び方を分かりやすく説明します。
ダイエットにおけるメリットや食べる際の注意点も紹介していますので、オートミールで食生活を改善したい方はぜひ最後までお読みください。
1.オートミールとは?
オートミールとは「オーツ麦」をさまざまな形に加工して、食べやすくした食品です。
麦ガラの先端が二つに裂けた形状がツバメに似ていることから「燕麦(えんばく)」とも呼ばれています。
現在は西洋諸国で生産されることの多いオートミールですが、原料となるオーツ麦は中央ヨーロッパで栽培され始めたといわれています。
オーツ麦にはグルテンが含まれないためパン作りに向かず、元来は家畜のエサとして利用されるのが主流でした。
しかし、食品の加工技術が発展を遂げたことにより、オートミールの食用はアメリカ周辺諸国やヨーロッパを中心に広がります。
日本には明治時代にオーツ麦が伝来し、北海道を中心に栽培され始めました。
現在ではオーツ麦に含まれる豊富な栄養素やグルテンフリーの性質に注目が集まり、健康や美容を重視する方から好んで食べられています。
2.オートミールに含まれる栄養素
オートミールの原料であるオーツ麦は栄養が多く含まれている食品です。
オートミールは、特に栄養が多い外殻も一緒に加工されています。
同じ穀物に分類され、朝食としても食べられやすい白米およびコーンフレークと栄養成分を比較してみました。
(可食部100g当たり)
【白米の栄養素】
名称 | 成分量 |
---|---|
熱量 | 342kcal |
食物繊維 | 0.5g |
カルシウム | 5mg |
リン | 95mg |
カリウム | 89mg |
鉄 | 0.8mg |
マグネシウム | 23mg |
たんぱく質 | 6.1g |
脂質 | 0.9g |
【コーンフレークの栄養素】
名称 | 成分量 |
---|---|
熱量 | 380kcal |
食物繊維 | 2.4g |
カルシウム | 1mg |
リン | 45mg |
カリウム | 95mg |
鉄 | 0.9mg |
マグネシウム | 14mg |
たんぱく質 | 7.8g |
脂質 | 1.7g |
【オートミールの栄養素】
名称 | 成分量 |
---|---|
熱量 | 350kcal |
食物繊維 | 9.4g |
カルシウム | 47g |
リン | 370mg |
カリウム | 260mg |
鉄 | 3.9mg |
マグネシウム | 100mg |
たんぱく質 | 13.7g |
脂質 | 5.7g |
文部科学省「日本食品標準成分表2020年版(八訂)」をもとに執筆者作成
白米やコーンフレークと比べ、オートミールには食物繊維・鉄などのミネラル・たんぱく質が豊富に含まれていることが分かります。
ここでは、オートミールに多く含まれる代表的な栄養素とその効果を詳しくみていきましょう。
2-1.食物繊維
オートミールは食物繊維が豊富な食品です。
100g当たり、白米には0.5g、コーンフレークには2.4gしか含まれていませんが、オートミールには9.4gの食物繊維が含まれています。
食物繊維は腸の調子を整えたり血糖・コレステロールを下げたりする効果が期待でき、積極的に摂りたい栄養成分です。
厚生労働省では、18歳以上における1日当たりの食物繊維の摂取量として男性では21g以上、女性なら18g以上を推奨しています。
しかし、現代人は食物繊維が不足しがちであり、1950年代と比較すると7割程度しか摂取できていません。
食物繊維は意識して摂取しないと不足しやすい成分です。
おやつや間食にオートミールを取り入れれば、食物繊維の不足解消にもつながるでしょう。
【関連情報】 「食物繊維とは?はたらきや摂取目標量、摂取源となる食べ物を解説」についての記事はこちら
「食物繊維は1日にどれくらい摂るべき?摂取目標量と摂取源となる食品」についての記事はこちら
「食物繊維の効果とは?1日の摂取目標量や摂取源になる食べ物も紹介」についての記事はこちら
「食物繊維のとりすぎは体に悪い?過剰摂取の影響と適切な摂取量を解説」についての記事はこちら
「コンビニで手軽に買える!食物繊維が豊富な食べ物・飲み物」についての記事はこちら
2-2.ミネラル
オートミールを食べれば、体に必要な多くのミネラルを一度に摂取できると考えられます。
カルシウム・リン・カリウム・鉄分・マグネシウムなどが必須ミネラルです。
必須ミネラルは人が生きていく上で欠かせない成分であり、不足してしまうと体はうまく機能できません。
厚生労働省でもバランス良く摂取するのが好ましいとされていますが、栄養成分を考えながら十分な量を食品から摂るのは難しいでしょう。
オートミールには白米・コーンフレークと比べ、多量のミネラルが含まれています。
特にダイエット中は栄養成分を幅広く摂取しにくいため、オートミールを積極的に食べると良いでしょう。
2-3.たんぱく質
オートミールは、植物性たんぱく質が精白米の約2倍と豊富に含まれています。
たんぱく質は髪の毛や皮膚、筋肉などを構成するために重要な成分です。
体調の調節機能もあるため、免疫機能を下げないためにもたんぱく質の摂取は必要といえます。
しかし、動物性のたんぱく質は腸で吸収されやすく、食べ過ぎると便秘になりやすいといわれています。
オートミールには植物性のたんぱく質が多く含まれている上、食物繊維も多いため、おなかの調子を整えるのに良いでしょう。
3.オートミールの種類
オートミールと一口にいっても、その加工方法はさまざまです。
それぞれ調理する方法や時間が異なるため、おいしくいただくには特徴を把握しておくことが大切です。
ここでは、代表的なオートミールを紹介します。
3-1.ホールオーツ
「ホールオーツ」とは、外殻の薄い皮を取り除いた全粒のオーツ麦のことです。
そのままでは硬く、調理前にしっかりと水に浸して加熱しなければ食べられません。
ホールオーツは食べられるようになるまでに時間がかかるため、主にパンや焼き菓子などを作る際に用いられることが多いです。
食感を強めるために用いられます。
3-2.カットオーツ
「カットオーツ」とは、ホールオーツを挽いてカットしたオートミールで、「スティールカットオーツ」とも称されます。
ホールオーツよりは調理しやすいとはいえ、おいしく食べるためには十分な浸水と15分〜20分以上の加熱が必要です。
カットオーツは、加熱すればプチプチとした食感になり、お粥として食べられます。
多彩な食感が加わるため、製パンや製菓の材料として利用されたり、ひき肉の代用品として汁物に用いられたりするケースもあります。
3-3.テーブルオーツ
「テーブルオーツ」は、ホールオーツを蒸してからローラーで平らにつぶしたものを乾燥させて作られます。
粒がテーブルのような形をしているのが特徴です。
加工方法から「ロールドオーツ」とも呼ばれ、比較的短時間の調理で食べられるようになります。
グラノーラの原料として使われることもあり、食べやすいオートミールといえるでしょう。
3-4.クイッククッキングオートミール
「クイッククッキングオートミール」とは、カットオーツを蒸し上げ、ローラーで押しつぶした上で炒ったものです。
その名のとおり素早く調理できる点が特徴であり、少しの水分を加えて約2分待つだけで食べられます。
オーツ麦特有の食感も残されているオートミールです。
3-5.インスタントオートミール
「インスタントオートミール」とは、クイッククッキングオートミールをさらに薄く加工したものを指します。
薄いため1分程度の浸水で柔らかくなり、少し煮込めば喉越しの良い食感を楽しめます。
インスタントオートミールはそのまま食べても問題なく、スープやデザートのトッピングとしても良いでしょう。
オーツ麦特有のクセが少ないため、オートミールが苦手な方にもおすすめです。
3-6.ベビーオーツ
インスタントオートミールを細かく粉砕したものは「ベビーオーツ」と呼ばれます。
火を通しやすく柔らかいタイプのオートミールであり、赤ちゃんの離乳食に使用するならベビーオーツが最適です。
即席のお粥としても食べられるため、常備しておくと急な体調不良の際に助かるでしょう。
4.オートミールの食べ方
「オートミールが気になるけれど、味が単調で飽きてしまいそう……」
このようなお悩みをお持ちの方もいるかもしれませんが、オートミールの食べ方は意外にもたくさんあります。
メインの食材として使うものはもちろん、少し手を加えればさまざまな料理に早変わりです。
ここでは、オートミールのさまざまな食べ方を解説します。
4-1.ポリッジ
オートミールの味をそのまま楽しみたい方には「ポリッジ」がおすすめです。
ポリッジ(porridge)とは英語でお粥のことを指し、オートミールの本場であるスコットランドでは塩を少量かける食べ方が多いそうです。
調理方法は簡単であり、水や牛乳などと一緒に好みの柔らかさになるまで煮込み、最後に少し蒸らすだけです。
深さのあるお皿に入れて水分をひたひたになるまで加え、電子レンジで2分ほど加熱することでもポリッジを作れます。
鍋で作る場合は、約200ccのお湯に適量のオートミールを加え、約2分30秒から3分30秒弱火にかけます。
火を止めてある程度蒸らし、お好みで牛乳を入れれば完成です。
4-2.お米のように食べる(米化)
オートミールを「米化」すれば、ダイエット中の主食の置き換えとして食べられます。
「米化」とは、オートミールをお米のような食感に加工する調理方法のことであり、お米を食べているかのようなプチプチとした食感が特徴です。
あらゆる食材との相性が抜群であり、さまざまな料理に使用できるため、オートミールを食べ慣れていない方でも食べやすいでしょう。
米化は、オートミール30gに水50ccの割合で加えて混ぜ、電子レンジで1分~1分30秒ほど加熱するか、鍋でかき混ぜながら弱火で10分ほど加熱するとできます。
オートミールを米化して作れる料理の例は以下のとおりです。
【米化したオートミールの活用レシピ】
- おにぎり
- チャーハン
- オムライス
梅干しやさけなど、好みの具材でおにぎりにすれば、いつでも手軽に栄養補給できます。
米化したオートミールを肉や野菜などと炒め、チャーハンにして食べるのもおすすめです。
また、米化してからケチャップやハム・チーズなどを加え、溶き卵と一緒にラップで包み、電子レンジで約2分〜3分加熱すると手軽にオムライスが作れます。
4-3.スイーツ
オートミールは、小麦粉の代わりとして製菓材料にすればヘルシースイーツが作れます。
そのままクッキーやパンの生地に練り込めば、オートミールの味に慣れていなくても食感を楽しみながら食べられます。
オートミールを使用したおすすめのスイーツはパンケーキです。
インスタントオートミールに牛乳を加えて電子レンジで加熱し、冷めてから砂糖・卵・ベーキングパウダーを加えてフライパンで焼きます。
ダイエット中に甘いものが食べたいときに作ってみてはいかがでしょうか。
4-4.一晩漬けておく(オーバーナイトオーツ)
「暑さで食欲が出ない……」
「朝ごはん準備の時短方法があれば良いのに……」
このような方には「オーバーナイトオーツ」がおすすめです。
オーバーナイトオーツは、オートミールに牛乳やヨーグルトをかけて一晩寝かせるだけで作れます。
加熱の必要がなく、夜に準備しておけば朝すぐに食べられるため、時間がなくて朝食を抜きがちな方にも適しています。
好みの果物やドライフルーツ、チョコレートなどをトッピングすればオシャレな朝食にもなります。
5.オートミールの選び方
ここまでオートミールの特徴を紹介してきましたが、どのオートミールが良いのか判断するのが難しい方もいるでしょう。
オートミールは、どのように食べるか、品質へのこだわりなどを基準にすれば自分に適したものを選べます。ここからは、オートミールの選び方をみていきましょう。
5-1.食べ方で選ぶ
オートミールにはさまざまな種類がありますが、向いている調理方法もそれぞれ異なります。
まず、主食として食べたいのか、パン・スイーツの材料として使いたいのかを決め、用途に合うオートミールを購入しましょう。
一般的には、ポリッジや米化にはテーブルオーツやクイッククッキングオートミールがおすすめです。
一方、製菓・製パンならインスタントオートミールなどの加工しやすいものが良いでしょう。
5-2.安全性で選ぶ
安全性や品質を重視したい方は、農薬や化学製品が使われていないオーガニックのオートミールがおすすめです。
日本で選ぶ際には「有機JASマーク」がついたオートミールを選ぶようにしましょう。
離乳食や小さな子どもに食べさせるときには、できる限り安全性の高いものを選びたいと考える方も多いでしょう。
有機JASは国が定める厳格な基準を満たした製品しか認定されないため、安心して毎日の食事に取り入れられます。
6.ダイエットにぴったり!オートミールのメリット
オートミールはダイエットにおすすめといわれますが、具体的に何が良いのかご存じない方も多いのではないでしょうか。
ダイエット中に気になるカロリーを減らし、必要な栄養素を効率良く摂取できる点においてオートミールは優れた食品です。
ここでは、ダイエット面からみるオートミールのメリットを紹介します。
6-1.1食当たりのカロリーや糖質が低い
オートミールは、お米と比べ1食当たりのカロリーや糖質量が低い食品です。
成人がお米を主食として食べる場合、1食につき100〜200g程度食べるのが一般的であり、カロリーに換算すると約156〜312kalを摂取することになります。
一方オートミールの1食当たりの量は30〜40g程度であり、カロリーは約105〜140kcalです。
また、糖質量で比較すると、お米100g当たり34.6g、オートミール30g当たり17.2gになります。
毎日白米を多く食べている方は、オートミールに置き換えることでカロリーや糖質を約半分に抑えられます。
オートミールは少量でも満足感を得られやすいです。
白米からオートミールに置き換えることで物足りなくなるのではと考えている方でも、安心して食べられます。
6-2.豊富な食物繊維でおなかの調子を整える
オートミールは食物繊維が豊富です。
ダイエットをしていると食事量が減って必要な栄養素が不足し、便秘になる場合もあります。
そのため、お通じを良くする成分を積極的に摂取することが大切です。
便秘になるとスムーズに体重が減らなくなることも多いため、できる限り快調な状態を保ちたいと考える方も多いでしょう。
ダイエット中にオートミールを食べれば、不足しがちな食物繊維を手軽に補えるため、おなかの調子を整えたい方はぜひ取り入れてみてください。
7.オートミールを食べる際の注意点
オートミールは健康や美容におすすめの食品ですが、いくつかの点に注意する必要があります。
健康や美容のためにオートミールを取り入れる場合、正しい食べ方を知っておくことが大切です。
ここでは、オートミールを食べる際に注意していただきたいポイントを説明します。
7-1.おなかのトラブルの原因になる可能性がある
オートミールを食べ過ぎると、おなかのトラブルを引き起こす恐れがあります。
豊富に含まれる食物繊維は適量であれば整腸作用がありますが、多量に摂取した場合、ミネラルの吸収を阻害する危険性があるのです[2]。
過剰摂取により下痢症状が起こり、結果として体に必要なミネラルなどの栄養素を排出してしまいます。
栄養はバランスが重要であり、適量を摂取することが大切です。
1日で栄養バランスを完璧にするのは難しいかもしれませんが、オートミールを上手に取り入れ、食事のバランスを見直してみましょう。
[2]厚生労働省 e-ヘルスネット厚生労働省「食物繊維」
7-2.低カロリーではない
オートミールは低カロリー食品ではないことに注意しましょう。
オートミールのカロリーを100gで換算すると350kcalであり、糖質量は57.4gです。
同じ量の白米と比較するとオートミールのカロリー・糖質はどちらも約2倍です。
カロリーや糖質の摂取量を抑えられるのは1食当たりのオートミールの適量が少ないからだといえます。
また、トッピングや付け合わせの食材に高カロリーな食品を使ってしまうと、さらに1食分のカロリーが高くなります。
ただし、食べ過ぎに気をつければオートミールはダイエット向きの食品です。
食べるときは適量を意識し、バランスの良い食事を心掛けましょう。
8.オートミールについてのまとめ
オーツ麦を加工した食品であるオートミールには、食物繊維や鉄が豊富に含まれています。
オートミールは種類や調理方法がさまざまなため、お好みの食べ方や品質へのこだわりによって自分に合うタイプを選んでみてください。
オートミールは1食当たりのカロリーや糖質が低く、整腸効果が期待できることから、ダイエットや美容・健康に気を配っている方におすすめの食材です。
ただし、オートミールを食べれば食べるほど良いというわけではありません。
過剰に摂取すると逆効果になる恐れがあるため、食事のバランスをみながら適量を食べるようにしましょう。