「葉酸はどんな食べ物に含まれているんだろう?」
このような疑問をお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんね。
葉酸は、健康に欠かせないビタミンの一つです。
不足すると、神経障害や貧血などのリスクが高まります。
しかし、どんな食べ物に葉酸が含まれているのか、分からないという方も多いでしょう。
この記事では、葉酸のはたらきや豊富に含まれる食品、不足を防ぐための摂取方法について詳しく解説します。
ぜひ健康的な体づくりのためにお役立てくださいね。
1.葉酸を豊富に含む食べ物
葉酸はビタミンB群の一種で、水溶性ビタミンに分類されます。
葉酸は人体のさまざまな機能を正常に保つために不可欠な栄養素です。
特に妊娠中の女性にとっては重要な栄養素とされています。
葉酸は野菜類、豆類、レバーなど多くの食品から摂取できる他、加工品やサプリメントから補給することもできます。
この章では葉酸を豊富に含む植物性食品と動物性食品をご紹介します。
ビタミンB群についてさらに詳しく知りたい方は以下の記事をご覧ください。
ビタミンB群とは?8つの栄養素のはたらきや適切な摂取量を解説
1-1.植物性食品
葉酸は豆類、野菜類、果物類といった植物性食品に含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
えだまめ | ||
黒大豆 | ||
黄大豆 | ||
モロヘイヤ | ||
芽キャベツ | ||
ブロッコリー | ||
ほうれん草 | ||
しゅんぎく | ||
アスパラガス | ||
ルッコラ | ||
わけぎ | ||
サニーレタス | ||
小松菜 | ||
オクラ | ||
甘栗 | ||
くるみ | ||
いちご | ||
マンゴー | ||
アボカド | ||
えのき |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
葉酸はさまざまな植物性食品に含まれているのですね。
これらの食品を日々の食事に取り入れて、葉酸を十分に摂取しましょう。
1-2.動物性食品
葉酸は肉類、魚介類、卵といった動物性食品に含まれています。
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
鶏レバー | ||
牛レバー | ||
豚レバー | ||
生うに | ||
さくらえび素干し | ||
鶏卵卵黄 | ||
かずのこ | ||
いくら | ||
さくらえび | ||
うずら全卵 | ||
あん肝 | ||
ほたて貝 | ||
かたくちいわし煮干し |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
葉酸は特にレバーに多く含まれているのですね。
このような動物性食品を積極的に取り入れて葉酸を効率良く摂取しましょう。
2.葉酸のはたらきと不足による症状
「葉酸にはどんなはたらきがあるのかな?」
「不足したら体にどんな影響があるんだろう……」
このような興味をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この章では葉酸のはたらきと葉酸の不足によって起こる症状について解説します。
葉酸の重要性をしっかりと把握し、日々の健康維持に活かしていきましょう。
葉酸のはたらきや不足による症状については以下の記事でも解説しています。
葉酸とは?はたらきや食事摂取基準、多く含まれる食品などを紹介
2-1.葉酸のはたらき
葉酸は、DNAやRNAの生成やアミノ酸の代謝に関わります。
このはたらきにより細胞の生産や再生を助けています。
また、葉酸はビタミンB12と一緒に、赤血球の構造を維持する役割も果たします。
さらに、葉酸には「ホモシステイン」という物質を「メチオニン」という必須アミノ酸に戻すはたらきもあります。
ホモシステインは、メチオニンの代謝過程でできる副産物ですが、量が増え過ぎると動脈硬化を引き起こす原因になることがあります。
加えて、葉酸は妊娠前や妊娠初期に摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低くすることが知られています。
神経管閉鎖障害は、胎児の脳や脊髄が正常に形成されないことで、運動や排せつに問題が生じる先天性の病気です。
神経管閉鎖障害は重度の場合、命に関わることもあります。
葉酸はヒトの健康や発育に重要な栄養素なのですね。
[1] 厚生労働省 e-ヘルスネット「アミノ酸」
2-2.葉酸の不足による症状
葉酸が不足すると、細胞分裂や造血機能に異常が生じ、神経障害や腸機能障害、さらには巨赤芽球性貧血などの症状が現れる可能性があります。
さらには、血中のホモシステイン濃度が高くなる「高ホモシステイン血症」を引き起こすこともあります。
葉酸は健康維持に欠かせない栄養素のため、必要な量を意識して摂ることが大切です。
サプリメントを利用する際は、過剰摂取にならないように注意しましょう。
3.葉酸の適切な摂取量と平均摂取量
「葉酸の適切な摂取量はどのくらいなんだろう?」
このように具体的な摂取量について悩んでいる方も多いのではないでしょうか。
特に、妊娠を考えている方や妊婦の方にとっては、葉酸の摂取が胎児の発育に影響を与えるため、正しい情報を知ることが重要です。
この章では、葉酸の適切な摂取量と年代別の平均摂取量についてご紹介します。
3-1.葉酸の適切な摂取量
厚生労働省が発表する「日本人の食事摂取基準(2020年版)」では、1歳未満に対して葉酸の「目安量」、1歳以上に対しては「推定平均必要量」、「推奨量」、および「耐容上限量」が設定されています。
【栄養素の指標】
- 目安量:科学的根拠が不十分な場合に設定され、一定の健康状態を維持するために必要な量です。
- 推定平均必要量:集団の半数が必要量を満たす量で、栄養不足を防ぐための目安です。
- 推奨量:ほとんどの人が十分に摂取できる量を示し、推定平均必要量を補う役割を持ちます。
- 許容上限量:過剰摂取による健康への悪影響を避けるために設けられた、摂取上限を示しています。
では男女別に葉酸の食事摂取基準を見てみましょう。
以下が女性の葉酸の食事摂取基準です。
年齢など | 推定平均必要量 | 推奨量 | 許容上限量 | 目安量 |
---|---|---|---|---|
0〜5カ月 | ||||
6〜11カ月 | ||||
1〜2歳 | ||||
3〜5歳 | ||||
6〜7歳 | ||||
8〜9歳 | ||||
10〜11歳 | ||||
12〜14歳 | ||||
15〜17歳 | ||||
18〜29歳 | ||||
30〜49歳 | ||||
50〜64歳 | ||||
65〜74歳 | ||||
75歳以上 | ||||
妊婦 | ||||
授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
妊娠中や授乳中の方には、通常の年代別の必要量に加えて、さらに多くの葉酸が必要だとされています。
これを「付加量」といい、妊娠や授乳で必要になる栄養を補うために設定されています。
さらに、妊娠を計画している方や妊娠の可能性がある方、妊娠初期の方は、サプリメントなどで1日当たり400μgの葉酸を追加で摂ることが推奨されています。
このことからも、葉酸が胎児の健康な発育をサポートするために重要な栄養素であることが分かりますね。
続いて以下が男性の葉酸の食事摂取基準です。
年齢など | 推定平均必要量 | 推奨量 | 許容上限量 | 目安量 |
---|---|---|---|---|
0〜5カ月 | ||||
6〜11カ月 | ||||
1〜2歳 | ||||
3〜5歳 | ||||
6〜7歳 | ||||
8〜9歳 | ||||
10〜11歳 | ||||
12〜14歳 | ||||
15〜17歳 | ||||
18〜29歳 | ||||
30〜49歳 | ||||
50〜64歳 | ||||
65〜74歳 | ||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」をもとに執筆者作成
年齢や状況に合った量の葉酸を摂取し、健康的な体づくりをしましょう。
3-2.葉酸の平均摂取量
次に年代別の平均摂取量を確認しましょう。
年齢など | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1〜6歳 | ||
7〜14歳 | ||
15〜19歳 | ||
20〜29歳 | ||
30〜39歳 | ||
40〜49歳 | ||
50〜59歳 | ||
60〜69歳 | ||
70〜79歳 | ||
80歳以上 | ||
妊婦 | ||
授乳婦 |
厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」をもとに執筆者作成
男性はおおむね葉酸の食事摂取基準を満たしていますが、20〜29歳の男性では平均摂取量が推奨量を下回っています。
一方、女性は20〜39歳の若い層で特に推奨量に達していないため、注意が必要です。
さらに、妊婦や授乳婦の葉酸摂取量は、付加量を合わせた推奨量に及びません。
そのため、特に妊娠中の女性や若い女性は意識的に葉酸を摂取することが推奨されます。
4.葉酸を効率的に摂取するための注意点
葉酸は水溶性ビタミンであり、水に溶けやすい特性があります。
調理によって損失しやすく、特に食材を長時間水に浸ける、ゆでる、煮るといった調理法では葉酸が失われるリスクが高まります。
このため、加熱時間を短くする、電子レンジを使う、または炒める・揚げるといった調理法を選ぶことで、葉酸の損失を抑えることができます。
5.葉酸を豊富に含む食べ物についてのまとめ
葉酸は植物性食品や動物性食品の両方から摂取できます。
植物性食品では、特に豆類や葉物野菜に多く含まれ、代表的なものにえだまめ、ほうれん草、ブロッコリー、アスパラガスなどがあります。
動物性食品では、レバーや卵、魚卵類から葉酸を摂取できます。
葉酸はDNAやRNAの合成、アミノ酸の代謝に重要な役割を果たしています。
また妊娠前や妊娠初期に摂取することで、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを低くすることが知られています。
妊娠を希望する方や妊娠初期の方、妊娠中・授乳中の方は葉酸を積極的に摂取するようにしましょう。
葉酸は水溶性で調理の過程で減少しやすいため、調理法に工夫が必要です。
短時間で加熱するか、電子レンジや炒める調理法を選ぶことで、葉酸の損失を抑えられます。
葉酸を十分に摂取し、適切な調理法を取り入れて健やかな体づくりを目指しましょう。