「ビタミンB12にはどんなはたらきがあるんだろう?」
「ビタミンB12はどれぐらい摂ると良いのかな?」
と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ビタミンB12は血液をつくるのに欠かせない栄養素です。
健康な方が通常の食生活を送っている場合には不足の心配はないとされています。
しかし野菜のみの食生活などが原因で不足すると貧血やうつ病などを引き起こし、さまざまな症状が現れると分かっています。
この記事ではビタミンB12のはたらきや食事摂取基準のほか、豊富に含まれている食品や過不足による影響などについて詳しく解説していきます。
ぜひ参考にしてくださいね。
1.ビタミンB12とは
ビタミンB12は「水溶性ビタミン」のうちビタミンB群の一種です。
ビタミンB12は「赤血球」をつくる上で重要な役割を持つ栄養素です。
私たちの体では骨の中心部分に存在する「骨髄」でさまざまな血液細胞がつくられており、ビタミンB12は骨髄で葉酸と共に正常な赤血球を形成するはたらきがあります。
そのためビタミンB12が不足すると赤血球がつくり出せなくなる恐れがあるとされています。
またビタミンB12はさまざまな「代謝」における補酵素としてのはたらきも持っています。
ビタミンB12は補酵素としてたんぱく質の生産や脂質の代謝などに関与しており、神経機能を正常に保つ作用もあります。
ビタミンB12は健康を維持する上で重要な役割を持つ栄養素なのですね。
【関連情報】 「ビタミンB12が不足する原因とよくある症状は?摂取しやすい食品も紹介」についての記事はこちら
2.ビタミンB12の1日当たりの食事摂取基準と平均摂取量
「ビタミンB12の適切な摂取量はどのぐらいなの?」
このように感じる方もいらっしゃるでしょう。
ビタミンB12は植物性の食品などしか摂取しない食生活を送っていると不足する恐れがあります。
この章では食事摂取基準や平均摂取量について、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」や「国民健康・栄養調査」の結果をもとに解説しますね。
2-1.ビタミンB12の食事摂取基準
厚生労働省はビタミンB12の食事摂取基準として目安量を設定しています。
ビタミンB12の目安量は以下のとおりです。
年齢 | 目安量 |
---|---|
0〜5カ月 | |
6~11カ月 | |
1〜5歳 | |
6~7歳 | |
8~9歳 | |
10~11歳 | |
12歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
2-2.ビタミンB12の1日当たりの平均摂取量
「普段の食事でビタミンB12が十分に摂れているのかな?」
と気になっている方もいらっしゃるかもしれません。
厚生労働省の「令和元年 国民健康・栄養調査」では栄養素の摂取状況が報告されています。
ビタミンB12の1日当たりの平均摂取量は以下のとおりです。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1〜6歳 | ||
7〜14歳 | ||
15〜19歳 | ||
20〜29歳 | ||
30〜39歳 | ||
40〜49歳 | ||
50〜59歳 | ||
60〜69歳 | ||
70〜79歳 | ||
80歳以上 |
厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査 」をもとに執筆者作成
このような結果から、全ての年代で平均摂取量が推奨量を上回っていることが分かります。
ビタミンB12は多くの方が必要な量を摂取できているといえそうですね。
3.ビタミンB12の過不足による影響
「ビタミンB12を多く摂り過ぎたり、十分に摂れなかったりすると体に悪い影響があるのかな?」
と疑問に思った方もいらっしゃるでしょう。
ビタミンB12は過剰摂取による影響はほとんどないといわれていますが、不足するとさまざまな症状が現れます。
この章ではビタミンB12の過剰摂取や不足したときの影響についてご説明します。
3-1.ビタミンB12を過剰摂取した場合
ビタミンB12が過剰になる心配はほとんどないといわれています。
ビタミンB12は体内に入ると胃から分泌される物質と結合し小腸で吸収されます。
その際体内に吸収する量が調整されるため、ビタミンB12を過剰摂取することは少ないといわれています。
吸収されなかったビタミンB12は尿や便として排せつされます。
ただし、ビタミンB12を必要以上に摂ることには注意が必要です。
ビタミンB12は多く摂っても吸収される量が調整されますが、豊富に含む食品を多量に摂るとかえって吸収率が減少すると分かっています。
普段の食生活では無理に摂り過ぎないよう意識してみてくださいね。
3-2.ビタミンB12が不足した場合
ビタミンB12は健康な方が通常の食生活を送っている場合には不足することはないとされています。
しかし厳格な菜食主義者の場合はビタミンB12の不足が起こることがあります。
その他にも胃酸の分泌低下や、胃切除、小腸における吸収不全などの影響で不足することがあります。
ビタミンB12の不足によって生じる代表的な病気は「悪性貧血」です。
血中の赤血球が減少すると体が酸素不足となり、動悸(どうき)や息切れといった症状が現れます。
また、ビタミンB12不足では「末梢神経障害」が生じて知覚異常やしびれが現れる他、うつ病などを発症する恐れもあります。
心身の健康を維持するためにも、ビタミンB12を十分に摂るよう心掛けたいですね。
4.ビタミンB12を多く含む食品
「ビタミンB12が摂れる食べ物は何だろう?」
と気になっている方もいらっしゃるのではないでしょうか。
ビタミンB12は動物性食品に多く含まれています。
植物性食品にはほとんど含まれていませんが、海藻類のなかには摂取源となるものがあります。
この章では、ビタミンB12を多く含む食べ物をご紹介しますね。
4-1.動物性食品
ビタミンB12は魚介類、肉類、卵類、乳類などに多く含まれています。
ビタミンB12を多く含む動物性食品は以下のとおりです。
【ビタミンB12を多く含む動物性食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
しじみ | 生 | 68.0μg |
赤貝 | 生 | 59.0μg |
牛レバー | 生 | 53.0μg |
いくら | 生 | 47.0μg |
あさり | 生 | 44.8μg |
鶏レバー | 生 | 44.0μg |
はまぐり | 生 | 28.0μg |
豚レバー | 生 | 25.0μg |
かき | 生 | 23.0μg |
たらこ | 生 | 18.0μg |
ほたるいか | 生 | 14.0μg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
スーパーなどで手に入れやすい食品も多いため、日常的にビタミンB12を摂ることができそうですね。
4-2.植物性食品
ビタミンB12は植物性食品のなかでも野菜類、果実類、きのこ類、いも類などにはほとんど含まれていませんが、海藻類から摂ることができます。
植物性食品にはほとんど含まれていないものが多いため、厳格な菜食主義の場合は不足しやすいのですね。
ビタミンB12を多く含む植物性食品は以下のとおりです。
【ビタミンB12を多く含む植物性食品と可食部100g当たりの含有量】
食品名 | 加工状態など | 含有量 |
---|---|---|
いわのり | 素干し | 69.4μg |
味付けのり | - | 67.9μg |
焼きのり | - | 56.7μg |
あおさ | 素干し | 37.2μg |
カットわかめ | 乾燥 | 2.0μg |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
このような海藻類から手軽にビタミンB12の摂取量を増やすことができるのはうれしいですね。
5.ビタミンB12についてのまとめ
ビタミンB12は水溶性ビタミンのうちビタミンB群の一種です。
ビタミンB12は葉酸と共に正常な赤血球をつくるのを助けるはたらきがあります。
またビタミンB12は補酵素としてたんぱく質の生産や脂質の代謝などに関与し、神経機能を正常に保ちます。
健康な方が通常な食生活を送っている場合には、ビタミンB12が不足することはほとんどありません。
しかし厳格な菜食主義、胃酸の分泌低下、胃切除、小腸における吸収不全などの影響で不足することがあります。
ビタミンB12が不足すると赤血球がつくり出せず、悪性貧血を発症する恐れがあり注意が必要です。
また末梢神経障害やうつ病などを生じることもあるといわれています。
ビタミンB12は体内で吸収量が調整されるため過剰となる心配はありません。
しかし摂り過ぎると吸収率が下がります。
ビタミンB12は魚介類、肉類、卵類、乳類、海藻類などから摂ることができます。
この記事を参考にビタミンB12を過不足なく摂取できるよう意識してみてくださいね。