「カロリーって何のことなんだろう……」
「カロリーを摂り過ぎると体重が増えてしまうのかな?」
カロリーという言葉を知っていても、何を指すのか、体重とどう関係するのか詳しく知らないという方もいらっしゃいますよね。
カロリーはヒトが食事などから摂取したり、生命維持や運動などに消費したりするエネルギーの単位です。
この記事ではカロリーと体重の関係や、摂取カロリーと消費カロリーの計算方法を解説します。
またエネルギー源となる栄養素や主な食品のカロリーについても詳しくご紹介するので参考にしてくださいね。
1.カロリー(エネルギー)とは
「カロリーとエネルギーって何が違うのかな?」
「カロリーと体重ってどんな関係にあるんだろう……」
カロリーという言葉を日常的に見聞きしたり使ったりしていても、正確に何を表しているか分からないという方もいらっしゃるかもしれませんね。
カロリーはヒトのエネルギーに関する単位で、体重の増減とも密接に関係しています。
この章ではカロリーとエネルギーの関係や、カロリーが体重に与える影響について詳しく解説します。
カロリーについて理解すると、体重の変化についてもよりよく知ることができますよ。
1-1.カロリーとエネルギーの関係
カロリーはヒトが食事などから摂取し、生命を維持したり体を動かしたりするのに消費するエネルギーの単位です。
摂取したエネルギーの量を「エネルギー摂取量」といい、一般的には「摂取カロリー」と呼ばれています。
一方、ヒトの体が消費するエネルギーの量は「エネルギー消費量」で、一般には「消費カロリー」と呼ばれます。
ヒトが食べ物から摂取するエネルギーの多くは、最終的に熱として体から放出されます。
このためエネルギーの摂取量や消費量は熱量として示されます。
カロリーは熱量を表す単位の一種です。
1calは1gの水の温度を1℃上昇させるのに必要な熱量として定義されています[1]。
ただし1calは非常に小さいため、通常はその1,000倍である1kcal(キロカロリー)が用いられています。
なお、ヒトのエネルギー源になる栄養素には炭水化物(糖質)、たんぱく質、脂質の3種類があり、まとめて「エネルギー産生栄養素」と呼ばれています。
カロリーはヒトの生命維持や身体活動に関わるエネルギーの基本単位なのですね。
[1] 独立行政法人国立環境研究所 循環型社会・廃棄物研究センター「循環・廃棄物のけんきゅう」
1-2.カロリーと体重の関係
カロリーと体重には密接な関係があります。
摂取カロリーと消費カロリーが同程度であれば体重は変わりませんが、このバランスがどちらかに偏ると体重が増減します。
摂取カロリーが消費カロリーよりも多い場合は体重が増加して肥満につながります。
逆に消費カロリーが摂取カロリーよりも多い場合は体重が減少して痩せにつながります。
つまり、食事から摂取するカロリーを制限して消費カロリーよりも少なくすれば減量が目指せるといえるのです。
摂取カロリーと消費カロリーを適切に調節することで、体重のコントロールが可能となるのですね。
2.摂取カロリーの目安と計算方法
「カロリーはどれくらい摂取すれば良いものなのかな?」
「減量するには摂取カロリーをどれくらい抑えれば良いか知りたい……」
毎日食事からどれくらいカロリーを摂取すれば良いのか、よく分からないという方も多いのではないでしょうか。
1日に必要なカロリーは体格や日々どれくらい体を動かしているかなどによって変わります。
また現在の体重を維持したいのか、目標とする体重があるのかによっても変化します。
このため、推定必要カロリー(推定エネルギー必要量)を知るにはまずご自身がどれくらい「身体活動」をしているのかを把握することが重要です。
身体活動の強さは以下のとおり3段階の「身体活動レベル」で表されます。
ご自身の身体活動レベルがどれに当てはまるかチェックしてみましょう。
身体活動レベル | 日常生活の内容 |
---|---|
低い | 生活の大部分を座って過ごし、日常的にあまり動かない場合 |
普通 | 座って過ごすことが多いが仕事でも立ったり歩いたりすることがある場合、通勤や買い物、家事や軽いスポーツをする場合 |
高い | 歩いたり立ったりすることが多い仕事に就いている場合、スポーツなどで活発に体を動かす習慣のある場合 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
ここからは身体活動レベルをもとに1日の推定必要カロリーの計算方法を詳しく解説するので、参考にしてくださいね。
2-1.標準的な体格の場合
厚生労働省によると、標準的な体格の方の推定必要カロリーは以下のとおりです。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
0〜5カ月 | ||||||
6〜8カ月 | ||||||
9〜11カ月 | ||||||
1〜2歳 | ||||||
3〜5歳 | ||||||
6〜7歳 | ||||||
8〜9歳 | ||||||
10〜11歳 | ||||||
12〜14歳 | ||||||
15〜17歳 | ||||||
18〜29歳 | ||||||
30〜49歳 | ||||||
50~64歳 | ||||||
65~74歳 | ||||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
また、妊娠中や授乳中の方は身体活動レベルに関わらず年代別の推定必要カロリーに以下のカロリーを追加する必要があります。
時期 | 付加量 | |
---|---|---|
妊娠 | 初期 | |
中期 | ||
後期 | ||
授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
なお、年代別の推定必要カロリーは日本人の平均的な体重(参照体重)をもとに算出されています。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
0〜5カ月 | ||
6〜8カ月 | ||
9〜11カ月 | ||
1~2歳 | ||
3~5歳 | ||
6~7歳 | ||
8~9歳 | ||
10~11歳 | ||
12~14歳 | ||
15~17歳 | ||
18〜29歳 | ||
30〜49歳 | ||
50〜64歳 | ||
65〜74歳 | ||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
参照体重に近い体重の方は、前掲の推定必要カロリーを摂取カロリーの目安として良いでしょう。
ただし、参照体重より体重が軽い場合、前掲の推定必要カロリーを摂取していると体重が増加すると考えられます。
また参照体重よりも体重が重い場合では減量が起こり得ます。
ご自身の体格に合った摂取カロリーの目安が知りたいという方は、次の項をご覧ください。
2-2.体格に合ったカロリーを摂取したい場合
「自分の体格に合った摂取カロリーを知りたい……」
体格が標準から外れているという方や、ご自身に適した摂取カロリーを正確に把握したいという方もいらっしゃいますよね。
体格に合った推定必要カロリーを知りたい場合は、体重1kg当たりの推定必要カロリーを用いて計算してみましょう。
現在の体重に、以下の表から該当する性別・年齢・身体活動レベルに当てはまる体重1kg当たりの推定必要カロリーを掛け合わせることで求められますよ。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
1〜2歳 | ||||||
3〜5歳 | ||||||
6〜7歳 | ||||||
8〜9歳 | ||||||
10〜11歳 | ||||||
12〜14歳 | ||||||
15〜17歳 | ||||||
18~29歳 | ||||||
30~49歳 | ||||||
50~64歳 | ||||||
65~74歳 | ||||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
算出された値が、現在の体重を維持するのに必要な1日の推定必要カロリーです。
例えば身体活動レベルが普通(Ⅱ)に当たる30代女性で体重が45kgの場合、1日の推定必要カロリーは38.4(kcal)×45(kg)=1,728kcalとなります。
これを1日に摂取するカロリーの目安と考えると良いでしょう。
ただし、理論的には推定必要カロリーは参照体重よりも体重が少ない人ではこの計算結果よりも多く、参照体重よりも体重が多い人ではこの計算結果よりも少なくなる点に注意が必要です。
2-3.目標体重を目指したい場合
「もう少し痩せたいんだけど、摂取カロリーはどれくらいに抑えたら良いんだろう?」
「健康に良い体重ってどれくらいなのかな……」
現在の体重とご自身が理想と考える体重に差があるという方もいらっしゃいますよね。
理論上ご自身の目標とする体重のときに消費するカロリーを摂取すれば、体重は目標体重に近づきます 。
まずは目標体重を設定しましょう。
目標体重の設定に当たっては、BMIを参考にしてみましょう 。
肥満が糖尿病や高血圧など、さまざまな生活習慣病の原因になることはよく知られていますよね。
一方で体重が低過ぎる状態では、疲れやすい、だるいといった症状が現れたり、体力や免疫機能が低下して風邪をひきやすくなったりするといわれています。
また痩せた状態で年齢を重ねると筋肉量の低下や骨粗しょう症のリスクも大きくなると考えられています。
適切な体重をキープすることが重要なのですね。
厚生労働省は18歳以上に対し、目標とするBMIの範囲を定めています。
年齢 | BMI |
---|---|
18〜49歳 | |
50〜64歳 | |
65〜74歳 | |
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
減量する場合は、このBMIを参考に目標体重を決めると良いでしょう。
目標体重が決まったら、体重1kg当たりの推定必要カロリーと掛け合わせましょう。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
身体活動レベル | 低い | 普通 | 高い | 低い | 普通 | 高い |
18~29歳 | 35.6 | 41.5 | 47.4 | 33.2 | 38.7 | 44.2 |
30~49歳 | 33.8 | 39.4 | 45.0 | 32.9 | 38.3 | 43.8 |
50~64歳 | 32.7 | 38.2 | 43.6 | 31.1 | 36.2 | 41.4 |
65~74歳 | 32.4 | 36.7 | 41.0 | 31.1 | 35.2 | 39.3 |
75歳以上 | 30.1 | 36.6 | - | 29.0 | 35.2 | - |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
例えば目標体重が60kgで、身体活動レベルが普通に当たる30代男性の場合、摂取カロリーの目安は39.4×60で2,364kcalとなります。
特に肥満の方は健康を損ねるリスクもあるため、適切なBMIを目安に減量に取り組みましょう。
また必要カロリーを正確に推定することは難しく、実際の必要カロリーには大きな個人差があると考えられています。
減量を目指す場合は実際の体重変動を参考に、摂取カロリーの調節を行うと良いでしょう。
[2] 厚生労働省 e-ヘルスネット「BMI」
[3] 厚生労働省 e-ヘルスネット「肥満と健康」
【関連情報】 「1日の適切な摂取カロリーは?体格や運動量に合わせた計算方法を解説」についての記事はこちら
「成人男性の適切な摂取カロリーとは?計算方法を分かりやすく解説」についての記事はこちら
「成人女性の適切な摂取カロリーは?カロリー制限する際の注意点も解説」についての記事はこちら
3.消費カロリーの計算方法
「毎日の消費カロリーを計算するにはどうすれば良いのかな?」
「日常生活や運動での消費カロリーがどのくらいなのか知りたい……」
ご自身の推定必要カロリーを把握したら、次は日々の消費カロリーも気になるのではないでしょうか。
消費カロリーは基礎代謝、食事誘発性熱産生(DIT)、身体活動の3種類に分けられます。
基礎代謝とは安静な状態で呼吸や心拍、体温維持など生命を保つために消費される必要最小限のエネルギーのことです。
また食事誘発性熱産生とは、食後に栄養素を分解する過程で生じるエネルギー消費のことです。
身体活動とは文字どおり体を動かすことを意味し、日常生活の動作と意図的な運動に大きく分けられます。
一般的には、総エネルギー消費量に対して基礎代謝が約60%、食事誘発性熱産生が約10%、身体活動が約30%を占めているといわれています[4]。
この章では基礎代謝と身体活動による消費カロリーの計算方法をご紹介します。
ただし消費カロリーは個人差が大きいといわれているので、あくまでおおまかな目安として参考にしてくださいね。
[4] 厚生労働省 e-ヘルスネット「身体活動とエネルギー代謝」
3-1.基礎代謝量の計算方法
参照体重における基礎代謝量は以下の表のとおりです。
性別 | 男性 | 女性 | ||
---|---|---|---|---|
年齢 | 参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal) | 参照体重(kg) | 基礎代謝量(kcal) |
1〜2歳 | ||||
3〜5歳 | ||||
6〜7歳 | ||||
8〜9歳 | ||||
10〜11歳 | ||||
12〜14歳 | ||||
15〜17歳 | ||||
18〜29歳 | ||||
30〜49歳 | ||||
50〜64歳 | ||||
65〜74歳 | ||||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
体重が参照体重に近い方は、そのままご自身の年代の基礎代謝量を参考にしてみてください。
また該当する年代の基礎代謝基準値とご自身の体重を掛け合わせても、大まかな基礎代謝量を求められます。
年齢 | 男性 | 女性 |
---|---|---|
1〜2歳 | ||
3〜5歳 | ||
6〜7歳 | ||
8〜9歳 | ||
10〜11歳 | ||
12〜14歳 | ||
15〜17歳 | ||
18〜29歳 | ||
30〜49歳 | ||
50〜64歳 | ||
65〜74歳 | ||
75歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
ただし、体重が参照体重から大きくかけ離れた人においては誤差が大きくなると考えられる点に注意が必要です。
より詳細に基礎代謝量を知りたいという方は、以下の式から求められます。
【基礎代謝量の推定式】
- 男性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.4235)×1,000÷4.186
- 女性:(0.0481×体重(kg)+0.0234×身長(cm)-0.0138×年齢-0.9708)×1,000÷4.186
基礎代謝の推定式はいくつかありますが、前掲のものは国立健康・栄養研究所によるもので、18〜79歳において妥当性が確認されています[5]。
[5] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
3-2.身体活動による消費カロリーの計算方法
身体活動による消費カロリーは、身体活動の強度と継続時間、ご自身の体重から求められます。
身体活動にはそれぞれ「メッツ」という強度が設定されており、身体活動量にはこれに継続時間(時)を掛け合わせた「メッツ・時」が用いられます。
まずは計測したい運動や生活活動のメッツを調べましょう。
身近な運動のメッツは以下の表のとおりです。
運動 | メッツ |
---|---|
ストレッチ | |
ボウリング | |
やや速いウォーキング(5.6km/時) | |
ゴルフ | |
バドミントン | |
かなり速いウォーキング(7.2km/時) | |
ジョギング | |
スキー | |
エアロビクスダンス | |
サイクリング(20km/時) | |
水泳(クロール、45.7m/分) | |
ランニング(8.0km/時) | |
ランニング(9.7km/時) |
国立健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」をもとに執筆者作成
また主な生活活動のメッツは以下の表のとおりです。
生活活動 | メッツ |
---|---|
座って静かにテレビを見る | |
子ども(幼児)の世話 | |
掃除機をかける | |
調理、皿洗いなどの台所での活動 | |
草むしり | |
掃き掃除をする | |
ガーデニング | |
家畜の餌やり、肥料散布などの農作業 | |
部屋の片付け | |
シャベルでの雪かき |
国立健康・栄養研究所「改訂版『身体活動のメッツ(METs)表』」をもとに執筆者作成
身体活動のメッツが分かったら、継続時間を掛けて身体活動量のメッツ・時を計算します。
この身体活動量とご自身の体重を以下の式に当てはめると、身体活動による消費カロリーが計算できます。
【身体活動による消費カロリーの計算式】
- [メッツ]×[実施時間(h)]×[体重(kg)][6]
体重80kgの方が90分間、かなり速いウォーキング(7.2km/時)をした場合を例に考えてみましょう。
かなり速いウォーキング(7.2km/時)のメッツは7.0のため、7.0×1.5×80で消費カロリーは840kcalとなります。
国立健康・栄養研究所が「身体活動のメッツ(METs)表」という資料を公開し、多くの運動や生活活動のメッツを紹介しているので参考にしてください。
[6] 厚生労働省「健康づくりのための身体活動・運動ガイド2023」
【関連情報】 「カロリー消費の多い運動は?ダイエット向きメニューや注意点を解説」についての記事はこちら
4.カロリー源になる栄養素と理想的なバランス
「エネルギー源になる栄養素はそれぞれどう違うんだろう」
「どの栄養素からカロリーを摂取しても良いのかな?」
1日の摂取カロリーを考えるに当たり、どの栄養素からどれくらいカロリーを摂取すれば良いのか気になりますよね。
エネルギー源となる栄養素は炭水化物(糖質)とたんぱく質、脂質で、健康のためにはこれらをバランス良く摂取することが重要です。
この章ではそれぞれの栄養素の性質と、摂取する上での理想的なバランスについて解説します。
4-1.炭水化物(糖質)
炭水化物はエネルギー産生栄養素の一種です。
炭水化物は消化・吸収されてエネルギー源になる糖質と、ほとんどエネルギーにならない食物繊維に大きく分けられます。
糖質は1g当たり約4kcalのエネルギーを産生します[7]。
糖質はごはんやパン、麺類などの穀類、さつまいもやじゃがいもなどのいも類、バナナやぶどうなどの果物類、あめやせんべいなどの菓子類、砂糖や砂糖を材料に用いる飲食物などに多く含まれています。
糖質は重要なエネルギー源ですが、摂取し過ぎると脂肪として蓄えられて肥満の原因となります。
また糖尿病などの生活習慣病を招く恐れもあるため注意が必要です。
一方、食物繊維はヒトの消化酵素で消化できないためほとんどエネルギー源にはなりません。
また炭水化物全体に占める食物繊維の割合もわずかであるため、炭水化物から摂取できるカロリーはほぼ糖質に由来するといえるでしょう。
食物繊維は便秘の予防といったおなかの調子を整える効果がよく知られていますが、それだけでなく消化管内の糖質や脂質、ナトリウム(塩分)を吸着して排出するはたらきもあります。
さらに糖質の吸収を緩やかにすることで血糖値の急上昇を抑制する効果も認められています。
このため食物繊維には肥満や高血糖、高血圧といった生活習慣病を予防・改善する効果が期待できるのです。
食物繊維が豊富な食品には、かぼちゃやごぼう、たけのこ、ブロッコリー、モロヘイヤ、切り干し大根、いんげん豆、さつまいも、おから、納豆、しいたけ、ひじきなどがあります。
カロリー源になる糖質と健康の維持や改善に役立つ食物繊維は、いずれも重要な栄養素だといえるでしょう。
炭水化物については以下の記事で詳しく解説しています。
炭水化物を多く含んでいる食べ物は?摂取基準や健康的な食べ方も紹介
[7] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」
4-2.脂質
脂質はエネルギー産生栄養素としてエネルギー源となる他、ホルモンや神経伝達物質といった生理活性物質や細胞膜の成分となります。
脂質は糖質やたんぱく質よりもカロリーが高く、1g当たり9kcalのエネルギーを産生します[8]。
脂質は油や肉類、魚類、乳製品、ナッツ類などに多く含まれています 。
脂質は糖質と同様に摂り過ぎると体脂肪として蓄えられ、肥満や生活習慣病の原因となるため注意してくださいね 。
脂質については以下の記事で詳しく解説しています。
脂質は1日にどれくらい摂取して良い?摂取目標量や過不足による影響
[8] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
4-3.たんぱく質
たんぱく質はエネルギー産生栄養素の一種としてカロリー源となる他、筋肉や臓器、肌や髪など体の組織の材料になります。
また、ホルモンや酵素など体のさまざまな機能を調整する物質の成分にもなります。
たんぱく質は1g当たり4kcalのエネルギーを産生します[9]。
たんぱく質は肉類や魚介類、卵、乳製品などの動物性食品に多く含まれている他、豆類などの植物性食品からも摂取できます。
たんぱく質の摂取量が不足すると体力や免疫機能の低下、成長障害などが起こる場合があります。
このため、たんぱく質をしっかりと摂取するよう心掛けましょう。
たんぱく質については以下の記事で詳しく解説しています。
タンパク質の1日当たりの適切な摂取量とは?摂取源となる食品も紹介
[9] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」
4-4.エネルギー産生栄養素バランス
エネルギー産生栄養素はバランス良く摂取することを心掛けましょう。
厚生労働省はエネルギー産生栄養素の目標量を1日の総摂取カロリー(総エネルギー摂取量)に対し、各エネルギー産生栄養素から摂取するカロリーが占める割合で設定しています(単位:%エネルギー)。
これをエネルギー産生栄養素バランスといいます。
年代別のエネルギー産生栄養素バランスは以下のとおりです。
性別 | 男性 | 女性 | ||||
---|---|---|---|---|---|---|
年齢 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 |
1~49歳 | ||||||
50~64歳 | ||||||
65歳以上 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
また妊婦・授乳婦には以下の目標量が設定されています。
時期 | たんぱく質 | 脂質 | 炭水化物 | |
---|---|---|---|---|
妊婦 | 初期 | |||
中期 | ||||
後期 | ||||
授乳婦 |
厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成
妊娠後期と授乳期にはたんぱく質の目標量がやや高く設定されているのですね。
ただし、このエネルギー産生栄養素バランスは必要なカロリーを摂取することを前提として設定されたものであることを理解しておきましょう。
【関連情報】 「健康的な食事とは?栄養バランスの取れた食事のためのポイントを解説」についての記事はこちら
5.代表的な食品のカロリー
「どの食べ物にどれくらいカロリーがあるんだろう……」
日々の食生活で口にする食べ物のカロリーがどれくらいか、気になりますよね。
この章では代表的な食品のカロリーを種別ごとにご紹介します。
毎日の献立の参考にしてくださいね。
5-1.主食
代表的な主食のカロリーは以下のとおりです。
食品名 | 加工状態など | カロリー |
---|---|---|
白ごはん | ||
食パン | ||
うどん | ||
スパゲティ | ||
中華麺 | ||
そば |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
主食のカロリーの多くは炭水化物に由来するものです。
5-2.肉
代表的な肉のカロリーは以下のとおりです。
食品名 | 加工状態など | カロリー |
---|---|---|
豚ばら肉 | ||
牛ばら肉 | ||
鶏むね肉 | ||
牛サーロイン肉 | ||
豚ロース肉 | ||
鶏もも肉 | ||
牛ヒレ肉 | ||
豚ヒレ肉 | ||
鶏ささみ肉 |
文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成
肉類はたんぱく質の摂取源として重要な食品です。
牛肉や豚肉は脂身を、鶏肉は皮を取り除くことでカロリーを下げることができます。
5-3.魚介類
代表的な魚介類のカロリーは以下のとおりです。
食品名 | 加工状態など | カロリー |
---|---|---|
くろまぐろ(トロ) | ||
ぶり | ||
しろさけ | ||
くろまぐろ(赤身) | ||
ブラックタイガー | ||
するめいか | ||
まだこ | ||
ほたて貝 | ||
しじみ | ||
あさり |