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マグネシウムを多く含む食べ物は?1日の摂取推奨量やはたらきを解説

メディパレット編集部

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マグネシウムを多く含む食べ物は?1日の摂取推奨量やはたらきを解説

「マグネシウムってどんな食べ物に含まれているの?」

「マグネシウムが体に必要なのはなんとなく知っているけど、1日にどれくらい摂ればいいんだろう?」

マグネシウムがどんな食材に含まれていて、体内でどんなはたらきをするのか、詳しくは知らないという方も多いでしょう。

マグネシウムはリンやカルシウムとともに骨の形成に関与する他、生命維持に必要な多くの代謝に関わる成分です。

通常の食事をしていれば過不足の心配はあまりないといわれています。

しかし、サプリメントによる過剰摂取や、アルコール中毒などが原因となり不足してしまうこともあります。

この記事では、マグネシウムがどのような栄養素なのか、推奨される摂取量や多く含む食べ物などについて解説します。

1.マグネシウムはどんな栄養素?

マグネシウムは「必須ミネラル」の一種です

必須ミネラルとは
人体にとって必要なことが明らかになっているミネラルです。必須ミネラルにはマグネシウムのほかナトリウム、カリウム、カルシウム、リン、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、クロム、モリブデンなど16種類があります[1]。

マグネシウムは300種類以上の「酵素」を活性化する性質を持っています[2]。

酵素とは、摂取した食べ物を消化したり吸収したり、そこからエネルギーや身体に必要な物質をつくり出したりといった、身体の中で起こる化学反応になくてはならない物質です。

メモ
体内に吸収された栄養素からエネルギーや身体に必要な物質をつくることを「代謝」といいます。

酵素は数多くの酵素を活性化するマグネシウムは、体内の重要なはたらきの多くに関わっているといえます。

また体内のマグネシウムの約6割は骨や歯に存在し、リンやカルシウムとともに骨を形成するという役割も担っています[2]。

残りは筋肉や脳、神経などにあり、筋肉収縮や神経伝達、血圧や体温の調節などに関わっています。

マグネシウムは通常の食事をしている限り過不足はほとんどないといわれている栄養成分ですが、さまざまな要因により過剰になったり不足したりすることもあります。

[1] 国立研究開発法人 国立循環器病研究センター 病院「栄養に関する基礎知識

[2] 厚生労働省e-ヘルスネット「マグネシウム

【関連情報】 「マグネシウムとは?はたらきや食事摂取基準、摂取源となる食品を解説」についての記事はこちら

2.マグネシウムの過不足による影響

体内のほとんどの代謝に関わるというマグネシウムを適切に摂取できなかった場合、健康にどのような影響があるのか気になってしまいますよね。

マグネシウムはサプリメントなどからの過剰摂取に注意する必要があります

また、病気などの影響でマグネシウムが不足してしまう例もあるといわれています。

ここでは、マグネシウムを摂り過ぎてしまったり不足してしまったりした場合には、体にどのような影響があるのかについて詳しくご説明します。

影響1 マグネシウムを摂り過ぎてしまった場合

一般的な食生活を送っていればマグネシウムを摂り過ぎてしまう心配はありません

もし過剰摂取してしまった場合でも、健康な人であれば余分なマグネシウムは腎臓から排せつされます。

ただし、サプリメントや薬などでマグネシウムを摂り過ぎると下痢などの症状が出てしまう可能性があるため、注意が必要です。

影響2 マグネシウムが不足してしまった場合

マグネシウムが不足してしまった場合は、骨の形成不全や骨粗しょう症、神経・精神疾患、不整脈や心疾患、筋肉のけいれんなどを引き起こすことが知られています。

マグネシウム不足は、摂取量が不足している場合のほか、腸から正常に吸収できない吸収不良や腎臓などからの排せつ量が増加した際に起こります。

健康的な食生活を送っている方であれば心配する必要はあまりありませんが、お酒を大量に飲んだり、下痢が続いたりしている方などは注意が必要といえますね。

3.マグネシウムはどのくらい摂取したら良い?

「健康に過ごすためにマグネシウムは毎日どれくらい摂ればいいんだろう?」

「自分が十分にマグネシウムを摂れているのか気になる……」

と疑問に感じる方もいらっしゃるでしょう。

通常の食生活を送っていれば過不足はあまりないというマグネシウムですが、厚生労働省で定めた基準に比べると、実は不足傾向にあるということが分かっています。

ここでは、マグネシウムの推奨される摂取量や実際の平均摂取量について、厚生労働省「日本人の食事摂取基準」や「国民健康・栄養調査」の結果をもとにお伝えしていきます。

3-1.1日当たりの摂取推奨量

一般的な食生活を送っていれば過不足は心配ないとはいえ、どのくらいの摂取量が適当なのかは知っておいた方が良いでしょう。

厚生労働省は1日当たりのマグネシウムの食事摂取基準を以下のように定めています。

【マグネシウムの1日当たりの食事摂取基準(mg/日)】
性別 男性 女性
年齢 推定平均必要量 推奨量 推定平均必要量 推奨量
1〜2歳
60
70
60
70
3〜5歳
80
100
80
100
6〜7歳
110
130
110
130
8〜9歳
140
170
140
160
10〜11歳
180
210
180
220
12〜14歳
250
290
240
290
15〜17歳
300
360
260
310
18〜29歳
280
340
230
280
30〜49歳
320
380
240
290
50〜64歳
310
370
240
290
65〜74歳
290
350
240
280
75歳以上
270
330
220
270
> 厚生労働省「[日本人の食事摂取基準(2025年版)](https://www.mhlw.go.jp/content/10904750/001316468.pdf)」をもとに執筆者作成
メモ
「推定平均必要量」は半数の人が1日の必要量を満たせる量で、「推奨量」はほとんどの人が1日の必要量を満たせる量です。

また1歳未満の乳児に対しては目安量が設定されています。

【マグネシウムの1日当たりの食事摂取基準(mg/日)】
性別 男性 女性
月齢 目安量 目安量
0~5カ月
20
20
6~11カ月
60
60

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

目安量とは
一定の栄養状態を維持するのに十分な量のことです。この量以上を摂取していれば不足の心配はほとんどありません。

妊娠中の方に対しては上記に以下の量を付加した摂取が推奨されています。

【妊婦の付加量(mg/日)】
推定平均必要量 推奨量
妊婦
30
40

厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)」をもとに執筆者作成

また、サプリメントなど通常の食品以外から摂取するマグネシウムに対しては「耐容上限量」が設けられています

耐容上限量とは
習慣的に摂取しても、過剰摂取による健康被害のリスクがないとみなされる上限量のことです。サプリメントなどの利用により、過剰摂取の可能性がある栄養成分に設定されています。

通常の食品以外から摂取するマグネシウムの耐容上限量は、成人の場合で1日当たり350 mg、小児では体重1kg当たり5mgです[3]。

なお、一般的な食生活においてはマグネシウムの過剰摂取は考えにくく、健康被害も報告されていないため、通常の食品からの摂取に耐容上限量は設定されていません。

【関連情報】 「必須ミネラル」についてもっと知りたい方はこちら

[3] 厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2025年版)

3-2.1日当たりの平均摂取量

マグネシウムの1日当たりの平均摂取量は、厚生労働省の「国民健康・栄養調査」で確認できます。

【マグネシウムの1日当たりの平均摂取量】
男性 女性
1〜6歳
158mg
143mg
7〜14歳
236mg
214mg
15〜19歳
239mg
213mg
20〜29歳
227mg
192mg
30〜39歳
236mg
205mg
40〜49歳
251mg
219mg
50〜59歳
265mg
233mg
60〜69歳
286mg
269mg
70〜79歳
298mg
275mg
80歳以上
269mg
236mg

厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」をもとに執筆者作成

食事摂取基準の推奨量と比較してみると、すべての世代において下回っていることが分かります。

大幅に下回っているというほどではありませんが、現代の日本人の食生活において、マグネシウムは基準量には達していないというのが現状のようです。

4.マグネシウムを多く含む食品は?

「マグネシウムはどんな食べ物に多く含まれているの?」

一番気になるのは、何を食べたらマグネシウムが摂れるのかということですよね。

マグネシウムは、魚介類、海藻類、穀類、ナッツ類などに多く含まれています

ここでは、日々の食事に取り入れやすい食べ物を中心に、マグネシウムを多く含むものをご紹介します。

4-1.魚介類・藻類はマグネシウムを多く含む

魚介類・藻類

マグネシウムは、肉類よりも魚介類に多く含まれています

日本人は食の欧米化が進んでいることや価格が高いこと、たんぱく質の摂取量そのものの減少、調理やゴミ処理の手間などさまざまな理由から、魚より肉を食べる機会が増えています[4]。

マグネシウムを摂取するためには、今よりも魚介類を食べる頻度を増やしてみるのも良いでしょう。

比較的摂取しやすいわかめやのりなどの海藻類にも多いので、意識して取り入れてみてくださいね。

【マグネシウムを多く含む魚介類・藻類と可食部100g当たりの含有量】
         
食品名 加工状態など含有量
干しひじき
乾燥
640mg
干しえび
-
520mg
カットわかめ
乾燥
460mg
さくらえび
素干し
310mg
焼きのり
-
300mg
かたくちいわし
煮干し
230mg
するめ
-
170mg
しらす干し
半乾燥
130mg
イクラ
-
95mg
あさり
92mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

[4] 独立行政法人 農畜産業振興機構「食肉の動向について

4-2.穀類・野菜類でマグネシウムを摂取

穀類・野菜類

マグネシウムは、米を精白する際に取り除かれる「ぬか」の部分に多く含まれています。

そのため、玄米や精白度の低い米の方がマグネシウムを多く含んでいるといえるでしょう。

また、雑穀もマグネシウムが豊富です。

代表的な雑穀である「あわ」や「きび」がどんなものか知らない方もいらっしゃると思いますが、雑穀米なら食べたことがあるという方は多いかもしれません。

健康のために雑穀米を取り入れている方は、マグネシウムを比較的摂取できていると考えて良さそうですね。

野菜類は利用しやすいものでいうと、ほうれん草、枝豆などにマグネシウムが多く含まれています。

【マグネシウムを多く含む穀類・野菜類と可食部100g当たりの含有量】
         
食品名 加工状態など含有量
切干し大根
乾燥
160mg
玄米
-
110mg
ほうれん草
69mg
ごぼう
54mg
オクラ
51mg
グリンピース
37mg
とうもろこし
37mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

4-3.豆類・ナッツ類もマグネシウムを多く含む

豆類・ナッツ類

マグネシウムを多く含む食品の代表的なものといえば、アーモンドなどのナッツ類です。

売られている状態のまま食べられるため、間食などで摂取してみるのも良いでしょう。

また、マグネシウムは納豆や豆腐など普段使いしやすい大豆製品にも多く含まれています。

積極的に食卓に登場させて、マグネシウムを摂取しましょう。

【マグネシウムを多く含む豆類・ナッツ類と可食部100g当たりの含有量】
         
食品名 加工状態など含有量
アーモンド
いり、無塩
310mg
きな粉(黄大豆)
-
260mg
カシューナッツ
フライ、味付け
240mg
らっかせい
いり
200mg
くるみ
いり
150mg
油揚げ
150mg
納豆
-
100mg
がんもどき
-
98mg
木綿豆腐
-
57mg

文部科学省「日本食品標準成分表(八訂)増補2023年」をもとに執筆者作成

【関連情報】 「骨を丈夫すること」についてもっと知りたい方はこちら

5.マグネシウムを含む食べ物についてのまとめ

マグネシウムは必須ミネラルの一種で、300種類以上の酵素を活性化するはたらきのある栄養素です[5]。

またカルシウムやリンとともに骨を形成するはたらきもしています。

体の正常な機能のために欠かせない栄養素なのですね。

マグネシウムが不足すると骨の形成不全や骨粗しょう症、神経・精神疾患、不整脈や心疾患などが引き起こされますが、一般的な食生活を送っていれば配する必要はほとんどないといわれています。

しかし厚生労働省の定める食事摂取基準に対し、実際の平均摂取量は少ない傾向にあるため食べ物から十分に摂取しておくことが重要だと考えられます。

またサプリメントなどでマグネシウムを摂り過ぎた場合は、下痢などの症状が出る場合があるため注意が必要です。

マグネシウムは魚介類や海藻類、穀類、野菜類、ナッツ類などに多く含まれている傾向にあります

かつおやまぐろ、あさり、わかめなどの他、玄米や全粒粉パンなどの精製されていない穀類、枝豆、大豆製品、アーモンドなどから摂取が可能です。

購入しやすいものも多く、これから意識して摂取したいですね。

バランスの良い食事を心掛け、マグネシウムをしっかり摂取しましょう。

[5] 厚生労働省 e-ヘルスネット「マグネシウム

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執筆者 メディパレット編集部

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